ポーカーをするときに必ず使うトランプ。その中でもキング(K)は名前の通り王様の絵が描かれており、モデルが存在します。今回はそのモデルとなった人物について紹介していきます。
キングのモデルとなっている人物
スペード: ダビデ王(古代イスラエルの王)
ハート: カール大帝(フランク王国の王)
クラブ: アレキサンダー大王(マケドニアの王)
ダイヤ: ユリウス・カエサル(古代ローマの政治家)
トランプのキングに特定の人物がモデルとして選ばれたのは、16世紀頃のフランスで、絵札に歴史上の偉人を当てはめたのが由来とされています。
それぞれが当時のヨーロッパを形作った主要な文明や文化、時代を代表する人物として選ばれました。
日本札に偉人が描かれているのと似ていますね。
もちろんトランプによっては別の絵柄になっているときもありますが、現在の一般的なトランプではこれらの人物で定着しています。
モデルとなった人物の紹介
♠ダビデ王(古代イスラエルの王)
旧約聖書に出てくる英雄で、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教のいずれにおいても重要な人物です。特にキリスト教では、イエス・キリストの祖先として敬われています。
もともとはユダ族の羊飼いの少年でした。ユダ族はユダヤ人の語源にもなっています。
巨人兵士ゴリアテを、投石器と石だけで倒したとされています。この物語は、「弱者が強敵を打ち破る」ことの象徴とされています。
イスラエル王国を統一し、首都をエルサレムに定め、王国を最盛期に導きました。
その生涯は数多くの芸術作品の題材となりました。特にミケランジェロの「ダビデ像」 は、ルネサンスを代表する彫刻作品として知られています。
スペードは「剣」や「死」を象徴すると言われています。ダビデ王は、巨人ゴリアテを倒したことで知られる勇敢な戦士であり、剣や戦いといったイメージがスペードと結びついたと考えられています。
❤カール大帝(フランク王国の王)
フランク王国の国王であり、中世ヨーロッパの礎を築いた人物でシャルルマーニュとも呼ばれています。
フランク王国は、現在のフランスとドイツの原型となった国です。ゲルマン民族の一派であるフランク人が、西ローマ帝国滅亡後のヨーロッパに建てました。
積極的な外征で西ヨーロッパをほぼ統一し、その功績からローマ教皇からローマ皇帝の帝冠を授けられました。これは、ゲルマン・ローマ・キリスト教の3要素が結びつき、西ヨーロッパ世界が成立したことを意味します。
文化復興運動を主導し、学問や芸術を奨励しました。これは「カロリング・ルネサンス」と呼ばれています。また、これによって中世ヨーロッパの文化的な基盤が形成されたため「ヨーロッパの父」と呼ばれています。
ハートは「愛」や「聖職者」を象徴すると言われています。キリスト教への信仰心が厚かったとされることやローマ皇帝の帝冠を授けられたことからキリスト教世界における権威と結びつけられ、ハートのキングに選ばれたとされています。
♣ アレキサンダー大王(マケドニアの王)
古代ギリシアのマケドニア王国の王子として生まれ、幼少期に哲学者アリストテレスから教育を受けました。
マケドニア王国は、古代ギリシア北部に存在した王国で、滅亡後にはローマの支配下に入りました。
アレキサンダー大王は、わずか10年ほどの間に、ヨーロッパからインドにまたがる広大な帝国を築き、「東方遠征」において一度も敗北しなかったとされています。
また、遠征によってギリシア文化とオリエント文化が融合した「ヘレニズム文化」が生まれました。この文化は、後のローマ帝国や世界に大きな影響を与えました。
クラブは「棍棒」や「知恵」を象徴するとされています。アレキサンダー大王は、単なる武力だけでなく、アリストテレスから教育を受けるなど、知性も兼ね備えた人物でした。また、ヘレニズム文化を生み出したという知的な功績からクラブのキングに選ばれたという説があります。
♦ ユリウス・カエサル(古代ローマの政治家)
古代ローマの名門貴族ユリウス氏族の出身で、共和政ローマの政治家・軍人です。
ガリア(現在のフランス)を征服し、その功績で名声を高めました。内乱に勝利してローマの最高権力者となり、ローマ帝国の礎を築きました。
名前の「カエサル」は、後の皇帝の称号(ドイツ語の「カイザー」やロシア語の「ツァーリ」の語源)となりました。また、彼が制定したユリウス暦は、現代のグレゴリオ暦の基礎となっています。
権力掌握の際に言ったとされる「賽は投げられた」や暗殺される際に放ったとされる「ブルータス、お前もか」などの言葉は現代でも広く知られています。
ダイヤは「財宝」や「貨幣」を象徴すると言われています。ユリウス・カエサルは、ローマの最高権力者として広大な領土を支配し、その財政力をもとに様々な改革を行いました。この「財」のイメージがダイヤと結びついたと考えられています。また、唯一横を向いているデザインは、古代ローマのコインに描かれた彼の横顔がモデルになったという説があります。
まとめ
トランプの絵札に歴史上の人物が割り当てられるようになったのは、16世紀のフランスで当時のヨーロッパを形作った主要な文明や文化、時代を代表する人物が選ばれました。
一般的には、それぞれスペードはダビデ王、ハートはカール大帝、クラブはアレキサンダー大王、ダイヤはユリウス・カエサルがモデルになっているトランプが使われています。


